• 2025.12.01
  • コラム

3分で読めるデザイン思考 ~第2回:共感 (Empathize)~

DX関連トレーニングの現役講師である上野 三由紀氏による「3分で読めるデザイン思考」コラムシリーズ第2回。
今回は、デザイン思考5つのステップの最初のステップをご紹介いただきます。

第2回:共感 (Empathize)

皆さん、こんにちは。DX関連コースの担当講師、上野と申します。
3分で読めるデザイン思考、第2回は共感 (Empathize)のステップをご紹介します。

このステップでは、ユーザーの日常生活や行動、置かれている状況をありのままに理解し、インサイト (洞察)を見出します。インサイトとは、ユーザー自身も気づいていない事実、外からは分からない潜在的な心の動きです。
ユーザーを理解するためのリサーチ(インタビューや観察)から開始します。共感では、「自分ごと化」という表現がよく使われますが、ユーザーの心の動きに寄り添い、感情移入することが大切です。
共感のステップは人間中心を原則としたデザイン思考の中核となるものです。

インタビューの実施

デザイン思考のリサーチでは、デプスインタビューと呼ぶ1:1のインタビューが多く実施されます。デプスインタビューは、1:1で対面し、60〜90分と比較的長い時間をかけて実施する代表的な定性調査の方法です。周りに他人がいると言いにくいと感じるような意見も聞きだしやすくなるため、ユーザーの感情や意見を詳細に理解するために用います。
一問一答ではなく、一答を丁寧に掘り下げることが重要です。回答に対して「なぜ?」と問いかけ、影響を受けた事やどのような状態を期待しているのかなどを深掘りしていきます。


共感マップとAEIOUメソッド

リサーチの結果をまとめる際、よく使われるのが共感マップやAEIOUメソッドです。

共感マップは、ユーザーの感情/思考/行動などを視覚的に整理するためのフレームワークです。ペルソナを中心として、言っていること/やっていること/考えていること/感じていることを記載します。

AEIOUメソッドは、インタビューや観察の結果を体系的に整理し分析するフレームワークです。リサーチ前に調査項目を作成する際にも使われます。
収集した情報を以下の5つの要素に分類し整理します。

〇 Activities (行動):ユーザーは何をしているか、行動の前後に何か起きたか、どのような手順で行っているか
〇 Environment (環境):何をするための場所か、どのような場所か (騒がしい/静寂/落ち着けるetc.)
〇 Interaction (相互作用):ユーザーは他の人やモノとどのようにやりとりしているか
〇 Objects (モノ):何かモノを使ったか、誰がどのような環境で使うモノか
〇 User (人):ユーザーはどのような人か、ユーザーの役割は何か、ユーザーに影響を与える人は誰か?

ペルソナ

リサーチの結果からペルソナを作成するのが、一般的な手順です。
ペルソナはターゲットとなる顧客層の共通の特徴やニーズ、行動パターンを反映した典型的なユーザー像です。名前・年齢・性別・居住地・職業・年収・家族構成・趣味・ライフスタイルなどの情報や、その人が抱える課題や価値観などを具体的に記述します。マーケティングや製品開発、UX/UI分野でも広く使用されています。
ペルソナの目的は、ユーザーの具体的なイメージをチーム内で共有することです。利用者の視点で検討するにも役立ちます。

研修にご参加くださったお客様が、「ペルソナは“解像度”が大事ですね。この人ならこんなことを感じていそう、こんなことで困っていそうと考えやすくなります」と仰っていました。
実在の人物をイメージして設定したり、設定したペルソナになりきって「この時どんなコミュニケーションを求めるか」「この時どんな気分になるか」などを具体的に想像したりすると、解像度を高めやすくなります。

次回は、本質的な問題を見極める「問題定義(Define)」のステップをご紹介します。
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トレーニング名: DXビジネスのためのデザイン思考入門
概要: デザイン思考を実務上適用できるようになることを目的として、デザイン思考のプロセスと代表的なツールを身近な課題を題材とした演習形式で習得します。
受講概要: 2日間 (9:30 - 16:30) / オンライン受講
※PDU対象トレーニング