
生成AIを使えば、資料作成や情報整理にかかる時間は短縮できます。それでも、次のような場面では人の判断が欠かせません。
・そもそも何を課題と捉えるべきか決める
・顧客や上司が本当に求めていることを読み取る
・情報が不十分な状況で優先順位をつける
AI活用が進むほど、上述のような答えを出す前の力が重要になります。
本記事では、こうしたスキルをコンセプチュアルスキルと捉え、思考力・提案力・実行力の3つに分けて解説します。
「AIツールを使っても、仕事の成果につながらないと感じている」
「生成AIを導入したものの、社員の判断力や提案力に課題を感じている」
このように感じていらっしゃる方は、ぜひご一読ください。
【この記事で分かること】
カッツ・モデルとは、ロバート・カッツ氏が1955年に提唱したフレームワークです。
ビジネスにおいて求められるスキルを3分類 (テクニカルスキル・ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキル) に分け、役職ごとに必要とされる比率が示されており、現代でも人事評価の設計などに利用されています。
・テクニカルスキル (業務遂行能力) : 実務・作業・専門知識
・ヒューマンスキル (対人関係能力) : 協働・コミュニケーション
・コンセプチュアルスキル (概念化能力) : 本質を見抜く・正解のない課題を構造化する
カッツ・モデルでは、若手・中堅社員はテクニカルスキルを中心に磨き、
昇進に伴い、コンセプチュアルスキルを高めるよう示されていますが、
最近では、AIツールがテクニカルスキル (資料作成・データ処理・コード記述など) を代行するようになりました。
これにより、作業効率化や専門知識 (テクニカルスキル) 習得のハードルが下がり、これまで管理職層を中心に求められてきていた「前提を疑い、課題を定義し、判断する力 (コンセプチュアルスキル) 」が、現場の若手・中堅社員にも前倒しで必要になっている現状があります。
また、この「全階層にコンセプチュアルスキルが求められている」という考え方は、カッツ・モデルより後に普及したドラッカーモデルでも示されています。
ドラッカーモデルは、ピーター・ドラッカー氏が提唱したマネジメント理論に基づいたフレームワークであり、ナレッジワーカー (知識労働者) を加えた4階層で、マネジメント階層が構成されています。
このモデルでは全階層においてコンセプチュアルスキルが必要とされており、
「たとえ若手であっても、知識を使って価値を生み出す以上はコンセプチュアルスキルが必須である」と定義されています。
AIの普及により、現場の社員一人ひとりが自ら問いを立てて判断する機会が増えた現代では、コンセプチュアルスキルは全社員が身につけたいスキルのひとつであると言えるでしょう。
こうした「生成AI時代における人間ならではのスキルの重要性」について、
2024年6月に経済産業省から発表された「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」というレポートが参考になります。
レポート中では、
生成AI導入の段階について、個人レベルでは進んでおり、今後は組織レベルそしてビジネスモデル変革へと進めていくべき、という指針が示されています。
そしてその変革を推進する人材には、AIが出した答えを受け入れるだけでなく「自ら問いを立てる力」や「仮説を立て・検証する力」が求められると記されています。
出典:「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024」~変革のための生成AIへの向き合い方~ (METI/経済産業省)
国の指針としても「全社員がコンセプチュアルスキル(本質を見抜き、問いや仮説を立てる力)を磨くことが必要である」旨が示されている、と考えられます。
では、このコンセプチュアルスキルを、現場の社員は具体的にどう身につければよいのでしょうか。
前述の経済産業省の指針 (問いを立てる、仮説を検証するなど) を踏まえ、
当社ではコンセプチュアルスキルを「思考力」「提案力」「実行力」の3つに分解して考えています。
人間ならではの強みを発揮できる上記3つの力を、AIツールが得意なことと比較してご紹介します。
| スキル領域 | AIツールが得意なこと | 人間が担うべきこと |
|---|---|---|
| 思考力 | 過去データからのパターン抽出・回答 | 前提を疑う、ゼロから「正しい問い」を立てる |
| 提案力 | 論理的な文章・資料の作成 | 顧客の潜在ニーズや感情を汲み取り、心を動かす |
| 実行力 | 理想的な計画やシミュレーションの提示 | 正解のない複雑な状況で、泥臭く優先順位を判断する |
AIは優秀なアシスタントですが、最終的にビジネスの方向性を決め、人を動かすのは人間の役割です。
AIツール関連の技術と並行して、私たち人間ならではの強みを磨き続けることが、現代において価値を生み出す鍵となっています。
「話を聞いただけで終わってしまい、実務で活かせない」という課題を解決するため、私たちTop Out Human Capital株式会社は、座学だけにとどまらない実践演習 (グループワーク) 中心の研修をご用意しています。
AIの提案や自身の思い込みを疑うクリティカル・シンキングと、枠にとらわれない発想で新しい選択肢を生むラテラル・シンキング (創造的発想術) を磨きます。
【 対応研修 】
自身の思い込みや因果関係を疑うクリティカル・シンキングを実践的に学ぶことで、客観的な現状把握と正しい問題定義による本質的な課題解決力を身につけます。
既成概念にとらわれない創造的発想術を実践的に学び、従来の枠組みを超えた新しいアイデアを生み出し、DX推進や新規事業の立案に活かせるスキルを学びます。
AIが作った「完璧だが無機質な提案」で実際に人を動かすのは難しいです。
顧客の感情や背景、自社との相互利益を見極め、双方に価値をもたらす提案力を磨きます。
【 対応研修 】
顧客の事業や目標を深く理解したうえで、適切なヒアリングとニーズの抽象化手法を学ぶことで、単なる製品の紹介にとどまらない、顧客にとっての価値を最大化する提案力を身につけます。
アイデアを広げる「創造的発想」と、それを実現可能な企画に落とし込む「論理的思考」という2つの思考法を組み合わせることで、顧客の潜在ニーズを満たす提案力を身につけます。
実際のビジネス現場は、急な割り込みや優先順位の競合で溢れています。
架空の役職になりきり、制限時間内に多くの業務案件を処理して判断力や優先順位をつけるインバスケット®演習で、周囲を動かす実務上の推進力を磨きます。
【 対応研修 】
制限時間内に多くの未処理案件を処理する演習を通じて、業務の優先順位づけや判断力を養い、仕事の効果と生産性を向上させるスキルを身につけます。
スケジュール管理・リスク管理・おもてなしの観点から、優先順位づけや事前対策を実践的に学ぶことで、仕事の手戻りや無駄を防ぎながら、限られた時間を効果的に使う段取り力を身につけます。
架空の業務課題を制限時間内に処理する演習を通じて、実践的な問題発見・解決のプロセスを体験的に学び、現場で役立つ判断力と行動力を高めます。
「通常の業務の中では怖くて試せないことをここで試して、業務の場に持っていこうと思える研修でした (ラテラルシンキングの実践) 。また、日々の行動を少しだけ変えようと思える研修でとてもためになりました。」
( 通信事業者 営業・販売部門 )
「提案アイデア出しからアイデアの具体化までの手法を学べました。実業務でも活用できる内容だと思うので社内にも広めていこうと思います。」
( 通信事業者 システムエンジニア )
AIツールに代替されない人間の強みの1つはコンセプチュアルスキルです。
思考力・提案力・実行力の3つの力を磨くことで、市場価値を高め、生成AI時代のキャリアを築く助けとなります。
当社トップアウトヒューマンキャピタルでは、座学に加えて、インバスケット演習や実践型のグループワークにより、実務で使えるコンセプチュアルスキルを養う研修を提供しています。
「物事の本質を見抜く能力 (概念化能力) 」のことです。複雑な状況を整理・抽象化し、正しい判断や課題定義を行うための基盤となるスキルです。
ロバート・カッツ氏が提唱した、ビジネスパーソンに必要なスキル (テクニカル、ヒューマン、コンセプチュアル) を職位ごとに体系化したフレームワークです。
ピーター・ドラッカー氏が提唱したマネジメント理論を基にしたモデルです。知識を使って働く労働者 (ナレッジワーカー) をエグゼクティブと捉え、若手や現場レベルであっても、本質を見抜くスキル (コンセプチュアルスキル) が必要であると示唆しています。
可能です。単なる知識の暗記ではなく、インバスケット演習などの実践型トレーニングを通じて思考の型と判断軸を磨くことで、着実に向上します。